骨格で観るワールドカップ[Vol.1 日本代表]

もう少しで4年に一度のワールドカップが開催されますね。

そこで今回はワールドカップ期間中、気になる(優れた)骨格を持つサッカー選手を取り上げていくことをテーマに記述していきたいと思います。

私事ではありますが、パフォーマンス改善に興味も持たれる方には常々「骨格を変えることがパフォーマンスを向上させる為の最適解である」と話しています。

すると、サッカーに適した骨格はどんな形?

野球では?バスケットでは?陸上では?ゴルフでは?テニスでは?

と質問を受ける機会が増えてきました。

今回のテーマではサッカーに絞って話していきますが、陸上(グラウンドやトラック)で行われるほとんどの競技において多くの類似点があるので、どんな競技に興味を持たれていても、また携わっていても、どなたでも参考にしていただける内容になっていると思います。

是非最後まで読んで参考にしてみてください。

サッカーに適した骨格とは

まず初めにサッカーに適した骨格とはどんなものか話していきます。

みなさんご存知の通り、サッカーは、縦105m横68mのピッチ内を合計22人(11人対11人)の選手で1つのボールを扱い1点でも多くゴールを決めた方が勝つスポーツです。

味方11人で協力しながらボールを奪ったりまたは奪われないように相手ゴールを目指すために、最適な戦略をもとに最適なフォーメーションを設定し、最適なポジションに最適な選手を配置します。

ようするに、出来る限りボールの主導権を自分たちが握れるように工夫して、1点でも多く点を取れるように試行錯誤を練りながら行う、非常にシンプルながら複雑で面白いスポーツです。

また、パス・ドリブルなどを駆使しながら相手にボールを奪われないようにするというところにおいては、少し見方を変えると、サッカーには「鬼ごっこ」の要素がふんだんに詰め込まれているということもわかります。

誰でも一度は鬼ごっこをしたことがありますよね?

また鬼ごっこで活躍(有利)した人ってどんな人だったか覚えてますか?

そうです、足の速い人です。

サッカーでも同じことが言えて、サッカーをしたことがある人なら、足が速いということが1番のアドバンテージであるということは誰でも知っています。

(もしそうじゃないと言う人がいれば、その人はサッカーを競技志向でやったことがない人だと思います)

また、足が速い人というのは、得てしてジャンプするのもドリブルをするのもキックを蹴るにも、そうじゃない人に比べて非常に有利で運動するのに適した体をしています。

要するに、サッカーに適した骨格というのは、速く走れる骨格である、ということがわかります。

速く走れる骨格について

速く走れる骨格とは、重心が高くて前方向に最も効率よくエネルギーを発生させることが出来る骨格ということです。

走る時に重心が高いと、走っている時の接地足を重心が越えやすくなるため、ブレーキがかからず効率よく進むことが可能になります。

逆に足が遅い人は重心が低いため、接地足を重心が越えづらく常にブレーキをかけながら進むような状態になってしまいます。

世界一速いスポーツ選手

ちなみに、この点で世界で一番凄いといわれるのが、100m走を9.58秒という驚異的なタイムで世界記録を樹立したウサイン・ボルトです。

要はボルトのような骨格を持っていれば、陸上で行われるどんな競技を選んだとしてもトップクラスの活躍をすることができる可能性があります。

バスケットの神様マイケルジョーダン、ボクシング世界ヘビー級統一王者のマイクタイソン、MLB(メジャーリーグ)史上最速の169.1km/hを叩き出したチャップマン、NFL(アメフト)とMLBの両方のオールスターゲームに出場した唯一の選手であるボージャクソンなんかも骨格的にはかなり近いものがあり、そのため彼らは各々の競技でトップオブトップの活躍ができるのだと考えられます。

しかし、ボルトがプロサッカー選手に転向しようとして複数のクラブのトライアウトに参加したところ、契約できなかったということがありました。

一見すると、サッカーは足が速いだけじゃダメというレッテルを貼られそうですが、契約に至らなかった原因はプレー内容というよりも、高額な年俸を要求したからだといわれています。

そもそも30歳のサッカー素人が、ブンデスリーガ含むヨーロッパのプロクラブやAリーグ(オーストラリア)のプロチームに契約前提の練習参加をすることができていること自体凄いことです。

YouTubeにあがっているボルトのプレーシーンを見てみても、お世辞にも技術があったり、戦術を理解してるとは到底思えませんが、圧倒的に足が速いというだけでも活躍は出来ていました。

それに問題は圧倒的な経験不足ということだけで、もし仮にプロチームでのプレーを1〜2年経験できていれば、もの凄い選手になった可能性は大いにあったと思います。

稀代のスピードを持つサッカー選手

ボルトと同じとまではいきませんが、それに極めて近い骨格を持った選手はサッカー界にも、ごく僅かですが存在します。

すでに引退してしまいましたが、2002年のワールドカップ日韓大会で大活躍した元ブラジル代表のロナウドなんかはその際たる例です。

現代では前回大会王者のフランス代表のエースであるエムバペもその内の1人です。

彼らに共通するのは戦術をも凌駕する圧倒的なスピード。

もちろんドリブル技術やシュート精度などもピカイチです。

今回のカタール大会では、エムバペを筆頭に素晴らしい選手たちが集結します。

その中でも骨格が特に良い選手たちをピックアップしていきます。

日本代表の注目選手

まず初めに、日本代表選手の中で注目に値する骨格を持つ選手を二名ピックアップしていきます。

日本代表エースでイナズマジュンヤこと伊東純也(14番)と、名門アーセナルで活躍している守備の要の冨安健洋(16番)の二名です。

今回の代表メンバーにはスピードが特徴の選手が、歴代代表チームよりも多いのが特徴ですが、その中でも伊東や冨安は極めて良い骨格を持っていて、スピードに関してもこの二人は抜けてると思います。

二人の共通点

二人に共通しているのは、生理湾曲のカーブの強さに加えて重心の高さです。

生理湾曲とは横から見た時の背骨のS字カーブを表しますが、そのカーブの角度が他の選手に比べて強く、且つ胸椎部分の後弯(背中の丸み)がかなり上の方(首側寄り)で起きています。

この後弯のカーブが高い位置にあると、その分重心の位置は高くなります。

重心が高くなると、速く走ることや、高く飛ぶこと、それに加えてバランス感覚なども良くなります。

要するに、運動を行う上でのアドバンテージが他の選手よりもあるということです。

サッカーでは、スピードがあることはとてつもなく有利に働くので、この二人は他の日本代表の選手に比べて、たとえ同じフィールドに立っていても見えている景色や世界観はまるで違うはずです。

感覚的には、周りがスローモーションで、自分達は早送りになっている状態に近いです。

ドリブルの際も平均的な選手と対峙した際にはマーカーやコーンを相手にドリブルをするのと対して変わりがなくなります。

スピードがあるということは、それくらい大きな違いを生むことができるのです。

もちろん、対峙する相手が自分と同等または自分よりも速い選手になってくると、駆け引きが必要になってくるので易々とイニシアチブを握れるわけではありませんが、この二人くらいの能力になってくるとほとんどの相手や場面でアドバンテージを握れると思います。

伊東や冨安が日本代表でも違いを生み出せたり、海外のクラブで活躍できているのはこういったことが要因です。

もちろん足元の技術やシチュエーションによって柔軟に対応ができる頭の良さなども要因ではあると思います。

しかし、一番の要因はベースの部分である二人の能力値、すなわち身体能力がキーポイントになっています。

これまでの日本サッカー

これまで日本サッカーは、身体能力よりも足先のテクニックや戦術といった部分にフォーカスしてきた印象が強く、そのため俗に言う「上手い選手」を大量に輩出することができたと思います。

なのでJリーグの選手は本当に上手い選手が多く、海外に行ったことのある選手は、口を揃えて日本人の方が遥かに足元のテクニックはあると言います。

しかし、その反対に身体能力の高い選手が台頭してこれない負のサイクルにもハマっている印象です。

フットサルやミニゲームなどの密集した小さいコートでは足元の技術の高さが有利に働きますが、縦105m・横68mのピッチ内においては別の話です。

日本代表がベスト8を達成するためには

世界で戦ってトップクラスまで上り詰めるためには、スピードがあることが極めて重要です。

また世界最高峰の大会で勝ち進んでいくためには、個人能力の高さというのも最重要ポイントになります。

正直、客観的に見ても、他国に比べて日本代表選手全体の個人能力の値は見劣りしてしまうので、弱小国扱いされてしまうのは仕方ありません。

しかし、日本が得意とする高精度の戦術をベースとしたサッカーを土台に、伊東や冨安の活躍があれば、もしかしたらグループリーグを突破できるかもしれません。

サッカーではサプライズな番狂わせもよく起こります。

今回ワールドカップのメンバーに選ばれた選手の中ではこの2名が骨格の良さでは際立っているので取り上げてみました。

今大会を通じて二人の骨格や他の選手との比較などを注目してみるとこれまでと違った見方ができて面白いと思います。

ぜひ参考にしてみてください。

とにかくこの二人の活躍が日本代表の躍進、そして目標のベスト8になるためには必要不可欠になると思うので、ワールドカップという世界最高峰の大舞台で大活躍することを大いに期待しています。