こんにちは、ノモトです。
今回は、「競技パフォーマンス向上に繋がらないトレーニング3選」のうちの2つ目、
「走り込み」について話していきます。
思い返してみると、多かれ少なからず、過去に「走り込み」の練習を強いられたり、自身で取り組んだ経験てありませんか?
ひとえに走り込みといっても、トレーニングには沢山の種類があるので、
例えば、
他にもたくさんの種類のメニューがあると思いますが、こういったことを個人でもチームでも、
走り込み期間と名付けた冬のシーズンだったり、合宿の期間や、週の頭のフィジカルトレーニングなどで極端に行うことって往々にしてありますよね?
しかも、一生懸命、体に鞭打って取り組んでいるのにも関わらず、なぜか実際のパフォーマンスの向上に繋がっていない、結果が出ないという経験、多分みなさんもあるはずです。
なぜこのようなことが起こってしまうのか、
それは、トレーニングの捉え方を間違っているからなんです。
今回の記事の内容は、あなたやあなたのチームが行っているトレーニングの目的や内容を深堀りせずに考えないことが原因で、多くの人がトレーニングの捉え方を間違ってしまっているというお話です。
この記事を見ているあなたが、いまどんな競技に取り組んでいるのかはわかりませんが、
もし、現在パフォーマンスアップを実現できずに悩んでいるのであれば、
今回の記事を最後まで見たら、少なくとも今あなたが取り組んでいる競技に対しての取り組み方が変わるはずです。
なので、そのキッカケを掴むためにも今回の記事は、是非最後まで見ていってください。
目的が曖昧になっている
早速、今回のテーマである「走り込み」がなぜ競技レベルの向上を妨げているのか、の理由について解説していきます。
1つ目は、スタミナ向上のための走り込みに対しての
「目的が曖昧になっている」ということです。
個人やチーム練習でもスタミナを向上させるために、
- ひたすらダッシュを繰り返す
- 中距離走を何回も全力で行う
- 高強度の練習を一生懸命繰り返し行う
という話をよく耳にしますが、
しかし、こういった心拍数を高く上げる練習やトレーニングをするだけでは実はスタミナを飛躍的に向上させることはできないんです。
スタミナを付けるためには、
- とりあえず人一倍走り込むしかない
- きついことをして身体に負荷をかけることが有効
- とことん追い込む必要がある
など、このような曖昧な理由で、走り込みをトレーニングに取り入れている選手や指導者は多いのではないでしょうか?
しかし、このようなあやふやな考えの下トレーニングを行っても多少はスタミナが向上したように感じることができるかもしれませんが思ったような成果を挙げることはできないと思います。
そもそもスタミナとは…
そもそもスタミナとはどういうモノかというと、
「疲れにくさ」を表す言葉であって、
「心肺持久力」を指しているんですね
ようするに、
「心臓と肺を中心とする、全身の循環系能力のこと」を表しています。
そして、この心肺持久力というのは、指標として、
「最大酸素摂取量」他の言い方では「vo2max」、というもので評価することができます。
最大酸素摂取量(vo2max)
この最大酸素摂取量というのは、酸素を体内に取り込む能力を測るものであって、
体重1kgに対し、1分間でどのくらいの酸素量を摂取できるか、を表す指標になっています。
この値が高ければ高いほどスタミナがあるというイメージですね。
スタミナ向上のためのポイント
加えて、この体内に取り込んだ酸素というのは、血液循環によって全身に送ることができます。
この血液循環を酸素運搬能力と言います。
そしてこの能力を高めるには、
「心筋を発達させること」つまり心臓の周りにある心臓を鼓動させる筋肉を鍛えることと、
「心臓の容量を広げること」が必要になってくるんですね。
この2点がスタミナ向上には欠かせない最大のポイントになってくるんです。
心筋と心臓の容量についてわかりやすく例えるとするなら、
心筋をポンプ、そして心臓は血液を貯蔵するタンクの役割を果たしていると表すことができます。
当たり前ですが、タンクの容量が大きく、ポンプの出力が強ければ、沢山の量の血液そして酸素を一気に効率よく全身に送ることができます。
これが「スタミナがある」という状態です。
しかし、どちらか一方が小さかったり弱かったりすると血液や酸素の運搬効率が悪くなってしまうんです。
これが「スタミナがない」という状態です。
多くのアスリートや指導者が見落としがちですが、この2つの向上がない限りは、どんなに厳しくきついトレーニングを行ったところでスタミナを向上させることは、難しくなってしまいます。
ちなみに呼吸筋機能、いわゆる肺を鍛えることも心肺機能向上のポイントになるのでは?
と思うかもしれませんが、実は、呼吸筋機能を鍛えることで持久力が向上するというのは様々な研究結果からもイコールにはならないという事がわかっています。
最大酸素摂取量に対しても、この呼吸筋機能の良し悪しはそこまで影響を受けませんが、心機能に関しては直接影響を与えることがわかっているので、
スタミナ向上のためには心臓にフォーカスすることが最も大切になるんです。
スタミナを向上させる為には
それでは、この心筋と心臓の容量を向上させる為に何をすればいいのか、それについて話していくと、
まず、心筋を鍛えるためには「無酸素運動」を行う必要があります。
無酸素運動
無酸素運動というのは、短い時間に大きな力を発揮する高強度の運動のことで、
エネルギーを生み出すのに酸素を必要としない運動のことを指します。
ちなみに呼吸をしない運動というわけではありません。
この無酸素運動を行うことによって、心筋を発達させることができると言われています。
例えば、短距離走や中距離走などをインターバルを入れて繰り返し行うことは、心筋の発達に適したトレーニングと言えます。
有酸素運動
続いて、心臓の容量を広げるために必要なことは「有酸素運動」です。
有酸素運動というのは、無酸素運動とは逆に長時間続けられる低強度〜中強度くらいの運動のことで、エネルギーを生み出すのに酸素を必要とする運動のことを指します。
例えば、ウォーキングやジョギング、軽めのランニングなどが有酸素運動といわれるものです。
この有酸素運動を行うことによって、心臓の容量を広げることができると言われています。
これら2つのトレーニングを行うことで心蔵の機能を向上させることができます。
このことを踏まえて話を少し戻すと、心拍数を高く上げる練習やトレーニングでは、無酸素運動、またはそれに近い強度の運動になるので、
これは心筋を鍛えるトレーニングになります。
前述した、心臓の容量を広げるための有酸素運動を行わない限りは、心筋のみが発達した状態になってしまうため、ある一定のところでスタミナ向上が頭打ちになってしまうんです。
そして、それでも頑張り続けて高強度のトレーニングばかり続けてしまうと、疲労が蓄積され、抜けづらくなり、オーバーワークに陥ってしまい、怪我をしやすくなるといった悪循環のサイクルに入ってしまう危険性があるんですね。
なのでどちらか一方にフォーカスしたトレーニングに偏ってしまうと、効率よく心臓を鍛えることができなくなってしまうんです。
心臓を効率良く鍛える
このように説明すると、それじゃあどちらも並行してトレーニングを行えばいいのかと思ってしまいそうですが、それでも心臓を効率よく鍛えることはできないんです。
それは、無酸素運動で心臓を覆っている心筋を発達させてしまうと、
有酸素運動を行っても心臓の容量を広げることを妨げてしまうからなんです。
なので、
- 心臓の容量を広げること
- 心筋を発達させること
この2つのことを効率よく向上させていく為には、
有酸素運動だけをある一定の期間行うことで心臓の容量を広げ、それから無酸素運動を行って心筋を鍛えるというのが、
最適で且つ効率よくスタミナを向上させることができるトレーニング方法になります。
ここまで述べた通り、スタミナ向上のためにとりあえず走り込みをするという曖昧な考え方は基本的にNGです。
まずスタミナというものは何かを理解して、その上で最も効率の良い方法を学んで目的を決めることが非常に大切になってくるんです。
こういったことが少しずつでも理解できると、トレーニングの質が高まり効率の悪いやり方にいつまでも振り回されることもなくなって、
時間を無駄にせずに競技レベルを向上させることができるようになると思います。
一生懸命頑張ってしまう
続いて「走り込み」がなぜ、競技パフォーマンス向上を妨げてしまうのかという2つ目の理由は、
それは「一生懸命頑張ってしまう」ということです。
日本の多くの選手や指導者は、毎回の練習やトレーニングを一生懸命、そして全力でやるべきものだと考えてしまっています。
集団競技の現場などでは、
などの選手に対して、指導者やチームメイトから檄が飛ぶようなことをよく見かけませんでしたか?
もちろん檄を飛ばすことで精神的な面で効果をもたらすこともあると思いますが、
こと競技レベル向上に関して言えば、それに対して少し見方を変えて価値観を変える必要があるんです。
努力は美徳である
日本では古くから、努力を美徳と考える文化が根づいているので、真面目に一生懸命に取り組むことは周りから称賛されることもありますが、
しかし、この真面目に一生懸命に取り組むという意味を履き違えて、
何事も「100%全力で行うことが正しい事だ」という意味で解釈している人が非常に多いという印象を受けます。
メディアの露出が多いトップアスリートや指導者のインタビューなどで、
- 「死にものぐるいで全力で頑張ります」
- 「一生懸命頑張り続けることが大切」
- 「持てる力を100%発揮できるようにします」
など、このような発言をしている選手ってよく見かけますよね?
そういった表現の混ざったインタビューを見たり聞いたりしている人が、その言葉をそのまま鵜呑みにしてしまうことが一つの要因なのかもしれません。
また日本のスポーツ界では一生懸命頑張って練習すると、
結果はどうあれ、その姿勢を周りから評価されて、
競技レベルが大して高くなくてもレギュラーで試合に出れるようになったりすることがあります。
指導者が選手の頑張っている姿勢を評価したい気持ちはわかりますが、
はたして一生懸命頑張って練習することで競技レベルは向上するのでしょうか?
自己防衛本能による制御がかかる
多くの指導者は、選手が練習を頑張っているのを目にすると、
「よくやった!」「いいぞ!」と褒めてくれますが、
それとは逆に、あなたの身体はその行為を褒めてくれるどころか、実はその行為を拒絶して受け入れてはくれないんです。
それは、あなたの身体が一生懸命頑張って練習するという行為に対して動きに制御をかけないと怪我をしてしまう危険性があると判断してしまい、
あなたの意思に反してパフォーマンスを低くコントロールしようとしてしまうからです。
そして、パフォーマンスが低くなったから更に頑張って練習しようと躍起になってしまうと身体は更に強い制御をかけてパフォーマンスを更に低くしようとしてしまうんです。
これは「自己防衛本能による制御」とも言い換えられるのですが、
この制御がかかってしまうと高いパフォーマンスを発揮したいと望んでいるあなたの意思に反してパフォーマンスは低めに抑えられてしまうんですね。
なので高いパフォーマンスを発揮しようと思えば、100%全力でプレーをするというのはできる限り避けるほうが良いんです。
無駄な力みを生む
自己防衛本能による制御がかかること以外にも、100%全力でプレーしないほうがいい理由として、
無駄に力みが発生してしまう、というのもあげられます。
なぜ力むことが良くないのかというと、
筋肉を収縮した状態から動き始めなくてはならなくなるため、
その分筋肉の可動域が狭くなってしまい、動きが小さくなって、
発揮できるパフォーマンスが低くなるからです。
またリズムが失われてしまうというデメリットも抱えているので、こういった点からも100%全力でプレーをするというのはパフォーマンスの低下に繋がってしまうんですね。
パフォーマンスの低下を防ぐには
ではどうすればパフォーマンスの低下を避けられるのか、
それは、本気度を80%~90%程度に下げてプレーをするということです。
以前、サッカーや陸上を行っている選手、数名に対して試合では全力を出しきらずに80%~90%の本気度で行い少しだけ余力を残すようにプレーをしてもらったことがありますが、
試合後の感想を聞くと、
- 100%でプレーをしていたときよりも周りが見えていい感じでプレーができた
- 余力を残すことでリラックスして思い通り走ることができた
などポジティブな回答ばかりでした。
またスプリント(短距離走)の指導の際にも、基本的には100%全力で走らないように指示を出して走ってもらうのですが、
そのほうが走りのパフォーマンスも良く、実際のタイムにもいい影響が生じるという結果も出ています。
練習量にも問題がある
ザッと競技に対する取り組み方、本気度の設定に関して話させていただきましたが、
一生懸命に頑張ってしまうことがパフォーマンスの低下を引き起こす要因は、これに加えて練習の量も関係してきます。
たくさん練習しないと不安になってしまう選手や指導者って結構いますよね?
憧れの選手やライバルがものすごい練習量をこなしていると聞くと自分はそれ以上に頑張らなきゃいけないと思い練習量を増やしたり、
強豪チームが3時間練習してるならウチはもっと練習しないとって思って、1日に4時間も5時間もって具合に練習量を増やして選手にきつい練習を強いてしまったりと、
このようにただ練習量を増やすことでライバルやライバルチームに対して、アドバンテージを得ようとするケースって結構あるんじゃないかなと思います。
競技パフォーマンス向上のための方法がわからない場合、どうしても練習量の差が実力向上の差に繋がっていると思ってしまうということは仕方のないことなのかもしれませんが、
練習量を増やしたり本気度をあげたとしても、パフォーマンスは思っているほど向上しません。
これに関しては、競技を真剣に向き合って取り組んできた人ほど痛感する部分ではないでしょうか?
前述した本気度の設定の話の中でも触れましたが、この練習量を増やすことに対しても身体はその行為が危険であると判断してしまい、
自己防衛本能による制御、つまり動きに制御をかけてしまうんです。
身体に制御がかかるとあなたの意思とは反して、発揮することのできるパフォーマンスは低めにコントロールされてしまいます。
オーバーワーク
また長時間練習を行うことを続けると、蓄積された疲労を回復することができなくなり、オーバーワークになりやすくなってしまいます。
オーバーワークとは、身体を使いすぎて、疲労を回復できなくなっている状態のことです。
こうなってしまうと、当然高いパフォーマンスは発揮できなくなってしまいます。
練習量が多くパフォーマンスが上がらないことの原因がオーバーワークであると気づくことができれば、その時点で行っているトレーニングの見直しをして修正することができるのでまだマシですが、
問題は日本の多くのスポーツ選手が、オーバーワークに陥っていることに気づいていないということです。
疲労が溜まった状態が長期間続くとその状態が普通になってしまい、疲れを感じづらくなることがあります。
その状態になってしまうと、頭で考えていることと身体が発揮できるパフォーマンスの間で差異が生じるため、
普段であれば難なくこなせるプレーのときなどで、思いもよらぬ怪我をしてしまったりするということが起きてしまいます。
最悪の場合、長期間に及ぶリハビリが必要になる大怪我を追ってしまったりと取り返しのつかないことにも繋がってしまいます。
超回復
また、本気度の高い運動を行うと、当然ですが筋肉は少なからず損傷します。
その損傷した筋肉は、筋肉の基になる栄養素であるタンパク質をきちんと摂取した上で、48時間〜72時間の休息を置くことにより以前よりも強く大きくなって回復します。
このことを超回復といいます。
この超回復を意識しないで十分な休息期間を設けず、間隔を開けないで本気度の高い練習を繰り返し行うと、
当たり前ですが、筋肉は回復することができなくなってしまうんですね。
しっかりと筋肉を回復させることができないと、高いレベルのプレーを行うことができなくなるので、当然競技レベルを向上させることができなくなります。
こういった観点からも、競技レベル向上のためには練習の強度や量、そして頻度の設定を見直す必要があるんです。
また練習量や頻度を減らしてパフォーマンスが向上した場合には、気づかないうちにオーバーワークに陥っていたと判断することができるので、
パフォーマンスが中々向上しないという悩みを抱えているのであれば、一度思い切って練習量を減らしてみるのもいいと思います。
トレーニング内容を見直したほうが良い
一生懸命に頑張って練習や試合を行うことは、一見素晴らしいことに見えるのですが、
その反面、パフォーマンスが向上しづらくなるという問題も抱えているということがわかっていただけたのではないでしょうか?
今回のテーマである「走り込み」に関しては、
- 本気度の高いトレーニングが多い
- 量や頻度を求めてしまいやすい
- 一生懸命頑張って行うことを要求されることが多い
などということが起きやすいと思うので、
個人競技の選手もチームスポーツを取り組んでいる選手も、そしてそれらの競技を指導している指導者も、
今回話した内容が少しでも当てはまれば、選手やチームのパフォーマンス向上、競技レベル向上のためにも、
今一度現在行っているトレーニングを見直してみてはいかがでしょうか?
まとめ
それでは、最後にここまでの話の内容をまとめると、
競技レベルが向上しないトレーニングの2つ目は「走り込み」で、
その理由としては、
を問題としてあげました。
そして、これらの改善策として、
を提案しました。
- 実力を向上させてトップレベルで活躍したい
- 目標達成のためにあなたが望むような結果を出したい
- このままの自分で終わりたくない
と思うのであれば、これまでの既成概念には囚われず、
是非、今回の記事を参考にして日頃のトレーニングに落とし込み実践してみてください。